建築再生日記

建築を見たり読んだり聞いたりして、考えたことを記録するメモ帳

住宅特集

住宅特集 2023年12月号 「環境住宅」の展開

欠かせない側面になってきたが、全身となる特集は2016年と2018年ということで意外と少ない。外皮性能が仕様とともに記載されている点は有意義だが、全体的にシンプルな箱型が多いのが残念だった。その意味では箱の家170は難波さんが20年ほども前から続けてい…

住宅特集2023年9月号

NOA A HOTEL ANY WHEREは部屋毎に移動する、トレーラーハウスの作品。アーキグラムのウォーキング・シティやプラグイン・シティが建築レベルで実現しようとしている例かも知れない。可動性がプログラムの変更を容易にするという発見がなされている。その可能…

住宅特集2306号/内と外の親密な関係:

「内と外の親密な関係ー土間・テラス・光庭」という見慣れないタイトル。いつもは土間とかテラスとか庭がテーマになっていた。これらを3つまとめて副題にするのは初見じゃなかろうか。 佐藤邸|西沢立衛建築設計事務所+ミサワホーム 大企業とアトリエの協業…

住宅特集2022年4月号/リノベーションの自由

構造種別と予算によって掛けられる手数と現れ方が全く異なるのがリノベーションの特徴だと思う。掲載されている作品の多くは、限られた予算で良好な住環境を獲得するために、消去法としてリノベーションが選択されている。内装だけをいじっている木造住宅は…

住宅特集2022年2月号/大地と繋がる家 環境と連続する平家の思考

定期的に組まれる平家の特集。 House in Los Vilosはチリの荒々しい自然と対峙する事で日本的なものが見えてくる。ヴォールトを自然に合わせて軟化させる態度は日本的。孫弟子によるPergolaも自然に合わせて建築が3次元的に変化するが、前者がヴォールトと…

住宅特集2021年8月号/庭

改修 新宿ホワイトハウスは、元々は立体格子を使い続けた磯崎新の幻の処女作である。既存の最大の特徴である吹き抜けをはじめ、屋内は建築家の意向が反映された形跡が全くない。施主がアーティストだから内は自分たちでやるよということか。結果的に建築家が…

住宅特集2021年7月号/現場の力

今月の特集テーマは現場の力。 建築ができるまでのプロセスを改めて見直し、それを実践し、実際のかたちにまで昇華させた住宅を取り上げます。(略)建築を構成する素材の物質性を最大限引き出し、現代の住宅ができるまでの仕組みをひっくり返すような挑戦で…

住宅特集2021年5月号

小金井の家は作品よりも批評が印象的。空間形式の変化、使い手の変化が要請した空間の繋がりの緊密さへの気づき。社会に開こうとする意思が別の位相で建築になっていることに対して歴史の創造性を感じるという感受性とそれを言葉にする文章力。こういう文章…

住宅特集21年4月号

日本は地震や台風などの自然災害とは切っても切れない関係にあるし、近代以前は数年ごとに大火に見舞われたりして定期的に破壊される家をつくり直してきた。和辻哲郎が<風土>の中で日本の夏は繁茂する雑草を抜き続けなければならない点を指摘したように、…

住宅特集2021年3月号/閾 環境と暮らしを繋げる土間

編集後記によると「閾」というテーマで特集するのは初めてとのこと。今までは土間というテーマだった気がするが、わざわざ閾という言葉を使っている意図があるのだろう。前書きを読むと、土間の存在が、内外の境界を線ではなく広がりとして捉えられる働きを…

住宅特集2021年2月号/平家という選択

平家というとほとんどが地価の安い地方が舞台になる。中でも象徴的な作品は表紙を飾る楢山の別邸で、緑に囲まれる別邸なのに400平米近くもある。のびのびとした有機的なプランをガラス張りで囲む構成はこういった敷地条件ならではだろう。造形のための造形か…

住宅特集2021年1月号 住宅のこれから

総括で議論されていた、歴史性や社会性を踏まえた意味論的なものの見方とそれらをキャンセルした動物的なものの見方という対比は、自分としても興味を持つところ。再生建築では時間の経過によって竣工当時の意味が失われてしまった形を活用することが大なり…

住宅特集2020年12月号 光と風のデザイン

内藤さんが昔東大で講義を持っていた頃に「デザインとは翻訳である」と教えていたそうだ。翻訳の対象は技術、場所、時間の3つだった気がする。いずれも共通しているのは不可視の事象をモノによって可視化する点である。 kenchikusaisei.hatenablog.com そう…

住宅特集2020年11月号  スケールとディテール 第36回吉岡賞

ディテールとは単なる物理的な詳細という意味にとどまらず、作品のコンセプトや建築家の信念が現れる箇所なのではないか、という編集の視点には共感する。中でも、副題にあるように環境に開くことに注目しているようだ。住宅特集には住宅を開くというワード…

住宅特集 2020年10月号 別荘

10月から東京もgotoトラベルキャンペーンの対象に追加され、首相は東南アジアに外遊してビジネス関連の入国を解禁する方向で調整が始まっている。今朝のニュースでは高齢者施設でも面会が解禁され始めていると報じられていた。感染拡大が一定程度抑えられて…

住宅特集2020年9月号 これからの間取り・キッチン

僕が学生だった2010年頃は間取りの時期だったように思う。競って目新しい空間形式を生み出そうという空気感が漂い、その空気をもっと濃いところで感じたいと思って僕は大学院への進学を期に上京した。それも2010年代になると陰りを潜め、かわりにフラグメン…

住宅特集2020年8月号 特集 庭 人と自然を繋ぐもの

文明と自然の関わりは古今東西の重要なテーマであり続けているが、ほとんど全ての文明が脅威としての自然に対峙するか大自然の一部として溶け込むという戦略を取ってきた中で、日本は里山に代表されるような人工的な自然と共生するというユニークな感覚を磨…

住宅特集2020年7月号

House & Restaurant の計画を最初に見たのは数年前だった気がする.柱とか壁とかいった従来のエレメントが一切ないような,何もかもがドロドロとしたコンクリートで一体になっているような構造に不思議な感覚を覚えた.今回は実際に工事が進んでいる状況を見…

住宅特集200年6月号

巻頭論文リノベーションの点と線は、近現代の建築が新築と保存の二項対立に陥っている点を批判し、改修工事を再開発・再利用・文化財の3つが複合した行為として捉えようとしている。点としての建築家への評価と、線としての建物の評価。特集記事戦後リノベー…

住宅特集2004号 敷地の力を引き出す

敷地の力を引き出すというよりは条件の悪い中でいかに工夫するか、といった作品が多かったように思う。 マンハッタンのペントハウスⅢは若い頃に打ち出したコンセプトが生涯を通して追い求めるものになるのだということを感じさせられた。最上階であるはずな…

住宅特集2020年2月号 木の家の歓び

木造特集ということで、おおよその傾向として①構造的な工夫、②敷地・周辺環境や地域性への反応、③自主施工の可能性の検討の3点が印象的だった。多くの作品はこれらのうち複数の傾向を両立させようとしていたように思われる。 森本邸はハウスメーカーの木質パ…

住宅特集 20年3月

言うまでもなく平家は最も簡易で原初的な構築物であり、その代表は木造による架構であろう。日本における架構の発展は、大陸からの組織的な文化・技術の輸入により始まり、様々な試行錯誤を経て、柱梁の門型フレームを桁方向に延長させた周囲を雨避けの庇が…

住宅特集2020年1月号

住宅特集2020年1月号を読みました。 巻頭論文・X_青木淳 麦藁ハット_RUI Architects+西澤徹夫建築事務所 和泉の家_下川徹 安中の家_植木幹也+進士茶織/スタジオシナプス 金沢の家_中西昭太建築事務所 New Kyoto town house 4_竹口健太郎+山本麻子…

住宅特集2019年12月号

住宅特集2019年12月号を読みました。 今月号は「これからの間取り」という特集です。 住宅でなく別荘だからこそ出来ることに挑戦するとか、別荘から現代の住宅を考えるなどが必要なのだと思う。また、ネットで世界中が繋がった現代では完全な非日常というの…

住宅特集2019年11月号

住宅特集2019年11月号を読みました。 今月号は開かれる軒と窓という特集です。 定期的に特集されるテーマでもあり作品に取り入れやすいのか、18作品と多い。 作品18題 東京の住宅_畝森泰行建築設計事務所 風棲家_T-Square Design Associates 間∧屋_前田圭…

住宅特集2019年10月号

住宅特集2019年10月号を読みました。 今月号は若手特集です。 作品15題 庭先のランドマーク_増田信吾+大坪克亘 節会_渡邊大志特集論考1:地形をつくるように場をつくり、家をつくる 三家大地 まれびとの家_VUILD 世田谷の住宅_大西麻貴+百田有希 三保…

住宅特集2019年9月号

住宅特集2019年9月号を読みました。 今月号は別荘特集です。 住宅でなく別荘だからこそ出来ることに挑戦するとか、別荘から現代の住宅を考えるなどが必要なのだと思う。また、ネットで世界中が繋がった現代では完全な非日常というのは難しく、日常から切り離…

住宅特集2019年8月号

住宅特集2019年8月号を読みました。 今月号は庭特集ということで屋外との繋がり方を模索している作品が多いです。 作品15題 daita2019_山田紗子建築設計事務所 荏原台地の家_三家大地建築設計事務所特集論考1:地形をつくるように場をつくり、家をつくる …

住宅特集2019年7月号

住宅特集2019年7月号を読みました。 今回はこんな感じで2本立てになっています。 作品12題 house S/shop B_木村松本建築設計事務所 滝山の住居_タトアーキテクツ/島田陽建築設計事務所 町屋の工場と家_富沢真二郎+池田晃一+田中大朗/TIT 坂牛邸_坂…

住宅特集2019年6月号

住宅特集2019年6月号を読みました。 今回は「土間・テラス── 関わりをつくる住まいのあり方」という特集が組まれており、積極的に内外の繋がりをデザインしている作品が多く目立つ点が印象的です。土間やテラスはもちろん大開口やテラスを積極的に設けた作品…