建築再生日記

建築を見たり読んだり聞いたりして、考えたことを記録するメモ帳

新建築

新建築2023年11月号

今月号はコミュニティをつくるという建築の可能性に焦点が当てられている。建築がこういう側面を持つことを知ったのは大学の設計課題を通してである。コミュニティ施設の併設が必須とされた集合住宅の課題では、建築というのは人が集まる場所を物理的に作る…

新建築2022年4月号

学部生の頃に参加した国際ワークショップで、今は亡き小川広次さんが「時空を越える建築」というテーマを出された。みんなでうんうん唸った所でテーマの真意は分からずじまいだったけれど、今月号はこのテーマに応えるような作品が多い。 パリ政治学院キャン…

新建築2021年4月号

表紙のLOUIS VUITTON GINZA NAMIKIとLOUIS VUITTON MAISON OSAKA MIDOSUJI、は論考表層は建築になり得るかの試行錯誤の一環である。店舗の外装デザインだから構造やインテリアの形や素材を直接操作することができないという条件で、いかに建築は作り得るか、…

新建築2021年3月号

旧富岡製糸場西置繭所保存整備事業は補強材と既存躯体のバランスがとても良い。既存躯体、補強鉄骨、ガラス支持材、補強強化ガラスと徐々に部材のメンバーが小さくかつ断面がシャープになっているのが良いのだろうか。一方でガラスによるハウス・イン・ハウ…

新建築2021年2月号 集合住宅特集

今月は集合住宅特集。 Hotel Siroは裏側に追いやられがちな避難階段をファサードに引っ張り出している。また、中廊下形式を片廊下式に転換することで、住戸内では廊下側の水回りとバルコニー側の居室を反転している。リビングインの間取りは引き違い扉でアク…

新建築 2020年12月

これからの都市と郊外に向けては明治維新に敗戦とリセットが続いた75年の周期に今年が当たるというのは面白い視点。今年はリセットが起きなかったとあるが、見方を変えると水面下でじわじわ浸透する不可視なリセットが来ているのかも。もう一つ興味深いのは…

新建築2020年11月号/木造特集

今月は木造特集である。国家的な後押しもあって需要が高まっているせいか、最近は毎月のように木造の中高層が掲載されている印象がある。それらの作品はどれも木造であることを積極的に表現しようとしており、建築がハコモノと呼ばれて悪者扱いされていた頃…

新建築2020年10月号

今月号の主題は時が作る環境という論壇のテーマが示しているように、建築に時間軸を導入することである。近代建築には時間軸がないとか、竣工時が最も美しいことが欠点であるといった批評はこれまで何度も目にしてきた。日本の近代建築における時間軸を敢え…

新建築2020年9月

横浜市役所は槇文彦の作家性とDB方式の集団性・匿名性が同居している。初期の頃から計画や表現の手法が一貫していること、それが長く通用し続けることに勇気をもらうとともに自分も内にあるイメージを実現させ続けたいと思う。こども本の森 中之島はアーバン…

新建築2020年7月

WITH HARAJUKUは性格の異なる地域同士を接続させようという意欲的な試みが目指されているものの、議論を呼ぶような挑戦は回避されているように思える。RCと木の端正なファサードが特にそれを感じさせる。日本人にとって重要な場所でそのような建築が量産され…

新建築2020年06月号

オンライン授業の課題と可能性 少しづつ集まり方のあり方が試されている.対面で伝え合えることとそうでないことの違いを探りながら試行錯誤がなされているが,建築の教育や実務における大きな変化は,コミュニケーションの道具が実空間のモノから画面の中の…

新建築2020年05月号

先日、4月6日になされた緊急事態宣言は5月末まで延長されることが決まった。3密は避けなければならないが様々な活動の全てをストップする訳にもいかず、緊急事態宣言直後の4月半ばに行われた緊急アンケートによると、大半の事務所や大学がテレワーク等によ…

新建築2020年4月号

巻頭でレポートされているイベントには言ったが、木造で構築できる架構の可能性が広がっている様にワクワクした。虎ノ門ヒルズビジネスタワーや東京メトロ銀座線渋谷駅は建築が敷地内の出来事でなく都市の活動そのものだと思える中、そういった規模で木造が…

新建築 20年3月号

リノベーションに必然で特有な問題が「何のために何を残すべきか」という問いである。とぼくらが勘違いしてしまうのは、フラットな敷地にゼロから建ち上げることをいつの間にか建築の前提と考えているからである。タブラ・ラサに線を引くという近代建築に特…

新建築20年2月号 集合住宅特集

「コミュニティが生まれ、都市が育つ」と題された建築論壇では、建築とは都市計画に従って箱を配置していく行為に止まらずボトムアップ的に都市を作っていく主体になり得ることが示されている。と思う。ヒルサイドテラスにおける低層であることの意味や共用…

新建築19年11月号

住宅特集2019年11月号を読みました。 もっとも共感できるのは(そして今月号の編集の通奏低音となっているのは)メタデザインの思考と題された巻頭論壇である。 論旨をひとことで言えば「これからの作り手はユーザーに寄り添って作り続けていく存在になるよ…

新建築19年12月号

住宅特集2019年12月号を読みました。 巻頭論壇:都市をつくる 渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟) 今月号はこの2つが全てと言っても良いのではなかろうか。 次の時代に生き残る都市として渋谷をアップデートさせる試み。具体的な方法論として谷を複層の…

新建築2019年5月号

新建築2019年5月号を読みました。 今月の新建築、塚本さんの特集記事良いなぁ地域の建築を作ろうとする事が、・地域とはどこを指すのか・地域を構成するのは誰なのかといった事を考える行為なのだなぁと思わされたり— 渡邉 明弘 Aki-Watanabe (@Akkun_Nabech…