住宅特集2020年1月号
住宅特集2020年1月号を読みました。
- 巻頭論文・X_青木淳
- 麦藁ハット_RUI Architects+西澤徹夫建築事務所
- 和泉の家_下川徹
- 安中の家_植木幹也+進士茶織/スタジオシナプス
- 金沢の家_中西昭太建築事務所
- New Kyoto town house 4_竹口健太郎+山本麻子/アルファヴィル
- 光洞の家_西口賢建築設計事務所・岩間建築設計事務所
- ひな壇の家_小林一行+樫村芙実/テレインアーキテクツ
- OPEN CAVE_成瀬・猪熊建築設計事務所
- SLBH4_河合啓吾
- 芦屋の家_藤本寿徳建築設計事務所
巻頭論文・X_青木淳
主題は一言で言えば抽象が絶対的になった現代にいかにして具体を取り戻すか。
建築を「様々な人とモノの諸関係と定義」するならば、建築をつくるにはその関係=「くうき」だけをつくることが理想だけれど、モノを配置しなければそれらの関係は生まれない。だから建築をつくりたければモノを配置するという行為からは逃がれられない。そして配置されたモノは意図しようがしまいが意味を人に伝えてしまい必然的に表現になってしまう。
本当は「様々な人とモノの諸関係」をつくったのに、そのために配置したモノが意図せずとも意味を帯びてしまい、そこで生じる表現が建築だと誤解される。
これを防ぐにはためにできるだけ表現しないことに拘っているけれど、結局は表現しないという表現になるというパラドックス。
ちなみに今月号の掲載作品でもあるXでは「住宅という建築なので住まい手と他者、住まい手同士の適切なプライバシーを確保しよう」という無茶苦茶当たり前のことを言ってるだけである。誌面を見る限りではかなり抽象的な印象を受けるが、現地で感じる「くうき」はもっと具体的なものなのかも知れない。
麦藁ハット_RUI Architects+西澤徹夫建築事務所
倉庫のような家型屋根がふたつ連なっている。平面は3分割された中央がまた3分割され、それがまた3分割されるというフラクタルな図式である。
全体は抽象的な理論でまとめられているようで、部分はものすごく具体性を帯びている。
和泉の家_下川徹
過去に見たことのあるテイストだと思ったらこれだった。
地に足のついた木造で、素材の選び方における細やかな配慮があると思う。
安中の家_植木幹也+進士茶織/スタジオシナプス
余白部分の使い方がいまいちイメージできず、敷地面積を使い切れていないだけのようにも思えてしまう。常識的な面積や機能に洗脳されきっているのかも知れない。
金沢の家_中西昭太建築事務所
図式は解くべき問題にうまくはまっていると思うが、景観にははまっていないような気がする。屋根のあまりに大きな面があらわれているのが周辺のスケールからはみ出して違和感を感じさせるのだと思う。
高橋さんの河谷家の住宅の方がうまくいってるかな。
New Kyoto town house 4_竹口健太郎+山本麻子/アルファヴィル
軸を振ることで隣地を介して眺望を取り入れている意図はうまくいっていると思うが、ブレースまで振る必要があるかは疑問。
軸を振るのはもっとうまくいってるやつが昔あった。
光洞の家_西口賢建築設計事務所・岩間建築設計事務所
いちばん良いかも知れない。敷地条件と構造・平面形式が一致しており、そこでしかできない空間や生活が生まれている。最初の写真ではコンクリートの小さな塊に違和感を持ったが、状況を理解するととてもマッチしていると思う。
ひな壇の家_小林一行+樫村芙実/テレインアーキテクツ
外観やプランは藝大住宅作家っぽい中に色や素材は違う感じ。
OPEN CAVE_成瀬・猪熊建築設計事務所
木造でありながら耐火要求に応えると洞窟のようになる。ふかしを活かした空間。図式的でありながらも細部は居心地よく調整されている。様ざまなスケールで完成度が高い。
SLBH4_河合啓吾
単純で仮説性がある。コストダウン以外に設計事務所が設計施工をする意味とはなんだろう?
芦屋の家_藤本寿徳建築設計事務所
安藤建築っぽいなと思ったら安藤事務所の出身だった。
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それでは今日はこの辺で。