建築再生日記

建築を見たり読んだり聞いたりして、考えたことを記録するメモ帳

点・線・面、負ける建築/隈研吾

負ける建築 (岩波現代文庫)

点・線・面

隈さんの代表的な著書を3つ挙げるなら『点・線・面』、『負ける建築』、『10宅論』だろう。隈さん自身もきっとそういう意気込みで本書を書いたに違いない。『点・線・面』は装丁からして明らかに『負ける建築』が意識されているし、序文の冒頭から『負ける建築』が登場する。

共通しているのは様々な観点から自身を社会的・歴史的に位置付けようという試みがなされている点である。

『負ける建築』は近代を「大きさをマネージする時代」と捉え、大きさが忌避されるようになった時代の空気を描くとともに、「大きくならない」方法が必要になるだろうという予感を示している。

対して『点・線・面』では建築が「大きくならない」方法を書いている。具体的には建築を微分化することであり、石と瓦を点、木を線、幕を面に準えて自作を位置付けている。

大局的な視点ととことんマニアックを同居させること。それらを自分なりに通時的かつ共時的に記述すること。

 

(4時間+7時間)