建築再生日記

建築を見たり読んだり聞いたりして、考えたことを記録するメモ帳

明日の田園都市

新訳 明日の田園都市

1番の驚きはハワードが1850年生まれで、このテキストが書かれたのが1898年ということ。

 

本書の内容は役者による後書きが分かりやすいので引用する。

 都市計画の歴史の中で、これはとても大事な文献だ。これは都市計画(厳密にはニュータウン計画)をきちんと提言した最初の本だからだ。

 もちろん、都市計画そのものは昔からある。(略)

 でもそうした都市計画は、なんらかの統治原理や宗教的・政治的な世界観や権力構造の表現だったりする。(略)

 このハワードの田園都市は、ほとんど初めて住民の立場から考えられた都市計画だと言っていい。(略)そして計画は大枠にとどめ、後はある程度の市場競争と人々の自主性に任せるという、民主主義と市場原理に基づく自由法人のミックスが提示されている。(個人的には自由主義&資本主義と社会主義のミックスであるように思えたが。)

 

ヒューマニズムに満ちた都市計画の提案であるだけでなく、ハワードの構想のポイントは

  • 都心のスラムと農村の過疎を、ニュータウンを作ることで一挙に解決するものであること
  • 白紙の大地を開拓することで、既存の都市を変えるよりも手っ取り早いこと
  • 土地を買ってくれる投資家を必要とすること(つまり本書は投資家への目論見書でもある)
  • 鉄道による大量輸送という新しい技術を積極的に導入すること

などが挙げれるか。他の書籍とも読み比べてみよう。