建築再生日記

建築を見たり読んだり聞いたりして、考えたことを記録するメモ帳

2022-01-01から1年間の記事一覧

「いえ」と「まち」 集合住宅の論理

著者の鈴木は、建築計画学を創設者した吉武泰水の下で51C型の開発にも従事した建築家であり、東大で研究室を主催した研究者であり、神戸芸工大の設立委員と学長を務めた教育者でもある。吉武が東大を退官した翌年の73年に(おそらく研究室を引き継ぐ形で)着…

装飾と犯罪

装飾を施す行為は文化的に劣った行為であると述べるなど、装飾が不要な理由についての論理的な説明はほとんどなく、趣味や空間を無理やり正当化しているだけのように読める部分が大半だった。 ほぼ唯一の論理的な部分は、装飾はリソースの無駄遣い(モノ自体…

新建築2022年4月号

学部生の頃に参加した国際ワークショップで、今は亡き小川広次さんが「時空を越える建築」というテーマを出された。みんなでうんうん唸った所でテーマの真意は分からずじまいだったけれど、今月号はこのテーマに応えるような作品が多い。 パリ政治学院キャン…

住宅特集2022年4月号/リノベーションの自由

構造種別と予算によって掛けられる手数と現れ方が全く異なるのがリノベーションの特徴だと思う。掲載されている作品の多くは、限られた予算で良好な住環境を獲得するために、消去法としてリノベーションが選択されている。内装だけをいじっている木造住宅は…

住宅特集2022年2月号/大地と繋がる家 環境と連続する平家の思考

定期的に組まれる平家の特集。 House in Los Vilosはチリの荒々しい自然と対峙する事で日本的なものが見えてくる。ヴォールトを自然に合わせて軟化させる態度は日本的。孫弟子によるPergolaも自然に合わせて建築が3次元的に変化するが、前者がヴォールトと…