建築再生日記

建築を見たり読んだり聞いたりして、考えたことを記録するメモ帳

2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

乾久美子建築設計事務所の仕事

たぶん乾さんが自身の建築観みたいなものをかたちづくったのは、芸大に着任して行ったリサーチを行った頃ではないかと思う。 リサーチの結果は「小さな風景からの学び」としてまとめられた。 jp.toto.com ギャラ間の展示会ではタイトルにされたばかりでなく…

コモナリティーズ

2014年の発行で、たぶんその頃に買った本だと思う。なぜ買ったのかは全く覚えていないし中身もほとんど記憶に残っていなかった。 本の中身を一言で言えば「無人格で均一な個とそれらを束ねる公ではなく人格のある個が社会をつくる方法を考えた」ということな…

建築家・坂本一成の世界

全体を単一の論理で展開しないというのが坂本一成に対する評価であるくらいの認識しかなく、書籍や作品集間もちろん具体的な作品やテキストを読み込んだのも今回が初めてだと思う。 デビュー作の「散田の家」ですでに「白の家」からの強い影響を受けるなど、…

新建築2020年05月号

先日、4月6日になされた緊急事態宣言は5月末まで延長されることが決まった。3密は避けなければならないが様々な活動の全てをストップする訳にもいかず、緊急事態宣言直後の4月半ばに行われた緊急アンケートによると、大半の事務所や大学がテレワーク等によ…

都市・住宅論

東孝光の作品に初めて出会ったのは、上京して最初の現場見学で現場の近くに『塔の家』がありますよとメールで教えられた時だったと思う。当時はそれが現場に来るついでに見てきなさい、というメッセージに気づかないくらいに鈍感だったから、確かその日は見…

建築の多様性と対立性

スカーリ教授は、ル・コルビジェを絶えず参照しながら、ヴァンチューリの反英雄的で包括的、反語的、歴史主義的な思考の見取り図を完璧なまでに描き切っている。加えて(略)『ラスベガス』との相補関係にまで触れている。 恐らくこの本は、1923年のル・コル…

新建築2020年4月号

巻頭でレポートされているイベントには言ったが、木造で構築できる架構の可能性が広がっている様にワクワクした。虎ノ門ヒルズビジネスタワーや東京メトロ銀座線渋谷駅は建築が敷地内の出来事でなく都市の活動そのものだと思える中、そういった規模で木造が…

形の合成に関するノート/都市はツリーではない

C・アレグザンダーを知ったのは、学部4年生の時に指導教官から「パタン・ランゲージ」を勧められたことがきっかけだった。その内容は、都市を成立させる「パタン」を言語のように組み合わせることで全体のストーリーを紡いでいくというものだが、そのアイデ…