建築再生日記

建築を見たり読んだり聞いたりして、考えたことを記録するメモ帳

建築家・坂本一成の世界

全体を単一の論理で展開しないというのが坂本一成に対する評価であるくらいの認識しかなく、書籍や作品集間もちろん具体的な作品やテキストを読み込んだのも今回が初めてだと思う。

 

デビュー作の「散田の家」ですでに「白の家」からの強い影響を受けるなど、直接の師である篠原一男をどう受け取るめるかが坂本建築の出発点であるように思われる。ここでは入れ子の構造という形式があるのだけれど、青木淳のテキストにあるように坂本は形式を表すことはしない。むしろ注意深く形式を消去しようとしている。

「F」では屋根と床がバラバラに存在していてそれらの関係性が主題となっている?形式を消去することから脱しているような、やっぱり形式は残っているような。

共同住宅や学校、海外での実施プロジェクトとなると、規模や文化・言語的な壁のせいか再びヴォールトなどの強い形式が用いられつつ、やはりそれらがなるべく消去されている。

 

大きな形式なしでそれなりの規模のものや不特定多数に向けた建築を作ろうとすると、なかなか苦労するみたい。

 

(8時間)