建築再生日記

建築を見たり読んだり聞いたりして、考えたことを記録するメモ帳

建築の7つの力

提示される7つの力の最初が「連想の力」なんだけど、本のタイトルからしてジョン・ラスキンの『建築の七燈』を連想させる。ちなみに他の6つの力は数の力、ゴシックの力、細部の力、模倣の力、地霊の力、過去の力。

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はじめから建築の本質のようなものをまとめるべく書かれた『建築の七燈』に対し、本書は別の場所で公開された原稿を集めて編集された本である。まえがきによると著者はそれぞれ独立した機会の中に、著者なりに脈絡をつけながら書いたらしく、ある程度の期間をかけて自分なりの建築観のようなものをまとめていたのだろうか。

その建築観は、端的に言えば「建築に時間と場所性を取り戻す」だと思われる。生き物は全て「今ここにいる」という存在であるが、著者が言うように、自分のいる点から無限に時間と空間を拡大して領有できるのは、人間が想像力を持っているからである。建築に時間と場所性を取り戻すことは、人間が人間たる所以である、想像力に関わることなのだ。

 

ちなみに鈴木は本書で昭和59年(1984年)に芸術選奨新人賞を受賞している。

また、たしか青木茂の活動をリファイニング建築(当時はリファイン建築)と命名した他、青木茂の博士論文の副査であり、難波和彦さんに主査をするようアドバイスしている。

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